Short Story
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職種紹介
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顧客の声を反映して実現した
CAD/CAM開発の軌跡

「データ検索がより簡単にできれば…」というお客様の声から始まった、C&GシステムズのCAD/CAMソフトウェアの進化の物語です。日々の現場で抱える課題を解決するため、AI技術を活用した類似ボディ検索機能の開発が進められ、多くのスタッフが一丸となって取り組みました。ここでは、その開発がどのように形となり、展示会での発表を通じてお客様の期待に応える製品として成長していった過程をショートストーリー形式でご紹介します。

設計データ検索の課題

「金型の設計を依頼されたとき、過去の似たようなデータを探して流用することがあるのだけど、はてどこにしまったかな?って、ほしいデータにたどり着くのに時間がかかってしまって。自分の記憶が頼りだから結局思い出せないということもあって。はぁ、もう少し短時間で探し当てることができると良いのだけどね」C&GシステムズでCAD/CAMソフトウェアの技術サポートを担当している川上が、ユーザーである英微精密を訪れた時、言われた言葉だ。

実はそういった声は、他にも多くのユーザーから寄せられているという話を別の支店の同僚からも聞いていた。同僚はその意見を、社内データベースに登録したと言っていた。「僕も来週の支店の会議で話をしてみようかな。」川上はTo doリストにその内容を書き込んだ。

技術会議での問題提起と研究開発部門の発足

やがてその声は次第に大きくなり、やがて技術会議の場でも聞かれるようになった。

折しもC&Gシステムズでは、AIや形状処理などをテーマとした最新技術の応用研究を通じた独自技術の開発を進めるため、研究開発部門を立ち上げようとしていた。「英微精密で言われたことがAIで解決出来たら良いのになあ」と川上はつぶやいた。

AI機能開発の進展と製品化への道

それから数年。研究開発部のAI開発は大きく進んでいた。「類似ボディ検索AI機能が完成しそうです!!」研究開発部メンバーの山内は声を上げた。「同期の川上にも、お客さんが困っているという話を聞いていたんですよね。いよいよ実現できそうで嬉しいです」

山内は研究と並行して、研究内容の背景、実現可能な機能の概要を商品企画統括部のメンバーに説明していた。「どうでしょう金沢さん、製品に搭載するうえでの機能要件の検討を進めていただけそうでしょうか。」山内は自身の研究内容が初めて製品搭載する機会とあって、若干の緊張感を抱えつつ商品企画統括部の金沢に確認すると、金沢は笑顔でこう言った。「このAI機能があればシステム内の検索効率も格段に効率が上がるね。さっそく要件定義を進めよう。」

バージョンアップ

C&Gシステムズでは年1回、ソフトウェアのバージョンアップを行っており、保守加入ユーザーに新たな機能を提供している。プログラム担当である森山は、機能搭載のために作成された外部仕様書を基にバージョンアップ開発を急いだ。「バージョンアップリリースに間に合わせることももちろんだけど、秋には大きな展示会がある。いろんなお客様に、このAI検索機能を見てほしい」森山はそう思いながら背筋を伸ばし、再びプログラミング作業を続けた。

展示会での評価と成長の実感

そして、いよいよ秋の展示会が開幕した。英微精密の設計者がC&Gシステムズのブースを訪れる。
「川上君!AIを使った検索機能ができたらしいね。さっそく見せてよ!」「ありがとうございます!どうぞこちらへ。」モニターに映されたCAD/CAMソフトウェアを説明すると「へぇーこんなに簡単に検索できるんだね。CGSさんすごいなあ。」AI研究が実ったことについて直接良い評価をいただいた川上の顔がほころぶ。「川上君、あの機能も紹介した方が良いんじゃないか?」一緒に説明をしていた先輩営業マンの谷がフォローを入れてくれた。谷も数年前までは技術サポート担当だったため、川上にとっては心強い存在だ。「そうですね、谷さん。では、こちらも見ていただきましょう…」近くでタイからの来場者を接客していた海外営業本部の武嶋もチラリとこちらを見てうなずいている。

自分がユーザーの声を聴いた結果が、バージョンアップ機能として反映され、ユーザーにご説明し、喜んでいただける。川上はまたひとつ、自分が成長できたような気がした。(終)