
考案した理論を
実装できる喜び
私の仕事内容
現在は、リバースエンジニアリングに関する調査・研究を行っています。リバースエンジニアリングとは,実際の製品の3DスキャンデータなどをCADデータに変換することを指し、製品を再設計したり,分析したりすることなどに役立ちますが、この作業は熟練の作業者が時間をかけて行う必要があります。本研究の目標は、3DスキャンデータからCADデータへ可能な限り自動で変換する機能を実装することです。入力となる3Dスキャンデータの形式は,点群か、あるいは外形を三角形の集まりで表したもの(STL)です。そのデータから、平面や円筒、その他の曲面の組み合わせでどのように表現するのが適切かを割り出さなければなりません。また,入力データの点群やSTLは測定誤差などにより多少ガタついていたりします。そのような理由から、本研究の目標としているところはかなり難易度が高く、挑戦し甲斐があると考えています。

キャリアステップ
2010年
名古屋の航空機等の解析・設計関連の業務を行うIT系企業に新卒入社。8年ほどプログラム開発やCADによる設計業務等に従事。
2019年
C&Gシステムズ入社。Excess3Dグループ(現3Dグループ)に配属
2021年
研究開発部に異動。形状処理関連の研究開発に従事。現在に至る。
とある一日のスケジュール
9:00
出社
始業前のちょっとした時間で勉強などしています。
10:00
作業
ノートに何かを書いている or プログラムを書いている or 頭を掻いている。
12:00
ランチ
愛妻弁当をいただきます!
13:00
作業
ノートに何かを書いている or プログラムを書いている or 頭を掻いている。
14:00
進捗会議/分科会
自身の作業の進捗や研究成果・調査結果などを共有します。
16:00
作業
ノートに何かを書いている or プログラムを書いている or 頭を掻いている。
17:30
終業
キリが良いところまでで仕事を終えて帰ります。
CGSに入社を決めた理由
前職は技術職として入社しましたが、業務を通じてあまり専門的知識を積み上げることができない環境にあり、またいつか地元である北九州に戻りたいと考えていました。仕事内容と勤務地の両方の観点から転職活動を行っていたところ、北九州にCADソフトメーカーであるCGSがあることを知りました。前職では3DのCADを使う側の立場であり「一体どうやって作っているんだろう」という作る側に対する興味を強く持っていました。また、CGSのホームページの募集要項に「数学が好きな人」という文言を見つけ、かねてから数学を使う仕事がしたいと考えていた自分としては、強く惹かれるものがあり、CGSに応募することを決めました。今では希望通り地元の北九州で数学を使う仕事ができています。
仕事の面白さとやりがい
研究開発では、まだ世の中にないものを作り出すことが求められます。それはとても難しいことですが、それと同時に挑戦し甲斐のあることです。自身で考案した理論をプログラムに実装して試し、うまくいったときの喜びは何事にも代えがたいです。
入社して2年目の時、2~3個の点法線ペアから、それらが載るトーラス(ドーナツの表面)を推定するロジックが必要になりました。少し調べてもでてこなかったため、自分で考え、その結果完全にオリジナルの手法を考案しました。その方法では線形代数の初歩とベクトルの内積や外積のみを用いて立式され、4次方程式を解くことでトーラスの小半径(ドーナツの太さ)を求め、そこからトーラスの他のパラメータ(ドーナツの中心や輪っかの大きさなど)が求まるという、とてもシンプルなもので、実装したところうまく動きました。作業としては1週間程度の短いものでしたが、私の心には強く残っています。
自分が考案したと胸を張って言えるものは、たとえそれが小さなことでも、自身にとっては宝物です。

苦労話、失敗談
研究開発といえども、守るべき開発スケジュールというものがあります。研究開発なので、前もって決めていた方針で想定していたようには開発作業がうまくいかないことも多々あるのですが、そういうときにその方針に見切りをつけて、代替案や折衷案を考え、そちらに切り替える決断をすることも時には必要です。私にはそういった能力が欠けているようで、自分が前もって決めたやり方に固執するあまり、スケジュールから大幅に逸脱してしまうことが何回かありました。このことを反省し、スケジュールを常に意識するということを心がける努力をしています。
将来の目標
種々の数学を応用した、画期的な新しい機能を開発することです。CAD開発(形状処理)で使用する数学といえば、三角関数やベクトルの内積外積、微分積分や線形代数、多項式などが代表的ですが、もっと幅広い数学を応用できたらと考えています。さらに言えば、ただ応用するのではなく、その数学の分野の基礎における深い理解を伴った応用が理想的です。自身の糧にもなり、かつ研究成果を上げることができれば、それは素晴らしいことです。また基礎に対する深い理解からは、新しいアイデアが生まれます。研究成果に自身の考案したものを盛り込むことができれば、これ以上幸せなことはありません。

これから入社する方へのメッセージ
CGSでは「数学などの得意分野が活かせる」「開発業務に集中できる」という点が非常に魅力的だと感じています。これは当たり前のように思われるかもしれませんが、前職では一人で様々な業務をこなさなければならず、そのような状況と比較すると、しっかり業務を分担できて開発に集中できるという今の環境は私にとっては非常にありがたいことです。
オフタイム
自分の部屋に設置したガラス製のホワイトボード(透明)。研究開発部の部屋に設置してあるものを、自分も絶対欲しいと思い、新築一軒家が建つときに、同じものを購入して自分の部屋に設置してもらいました。十分な大きさがあるので、考え事をするときにだらだらとまとまりのないことを書いたり、それと同時に子供の落書きスペースになったりなど、大活躍しています。何か思いついたときにすぐにささっと書けて、消したいときに楽に消せるのが素晴らしいです。
